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湯山 玲子

NY出張報告編その3   アメリカ美食の雄「ブーレイ」の快感

March 8, 2011
by yuyamareiko

NY出張報告編その3  アメリカ美食の雄「ブーレイ」の快感

帰国から、一週間、もう、夏休みの絵日記提出宿題となってしまいましたが、前日記の宿題となってしまいましたが、NY報告です。本当はこれら一切合切、帰りの飛行機でやっつけているはずが、ついつい、映画、見ちゃったんだよねえ~。それも3本も。

『恋とニュースのつくり方』というウェルメイド・コメディーは、月9の連ドラで上戸彩と田村正和でやりそうなヤツがその中の一本で、くだらねぇ~、と思いつつも、ついつい見ちゃったぜ。主人公のプロデューサーのひよっこ娘が激務と混乱の中で、ちゃっかりエリート同僚をモノにしちゃっているんですが、『四十路越え!』的に言えば、この女、自分から誘う女でしたよ。(とはいえ、このあたりはちょっとご都合主義的。時間の関係?)

 今、スケジュール帳のメモを見ているんですが、一週間前の土曜日、26日は、今回最も激しく活動した日でしたね。まずは12半予約のアメリカン・キュイジーヌの雄<Bouley>でのランチ① → <Russian&Turkish Bath>でロシアン&ターキッシュバス&サウナ② → <CANBI RAMEN>でラーメン③ → <The Stone>坂本龍一ソロピアノライブ③ → <District 36>でベルリンのパーティー「M.O.N.D.A.Y}④ という天国と地獄を行き来するような一日でした。天国は①と③、地獄は②と④、途中のラーメンはつかの間の現世、って感じでしょうか。

さて、①の<ブーレイ>から始めましょうか。

 トライベッカのデュアンストリートの小さい公園があって、ちょっとヨーロッパナイズされた静かな一角にある<ブーレイ>。シェフのデビッド・ブーレイは、90年代以降、めざましく美食都市に変化を遂げたニューヨークのフランス料理を牽引してきた存在として有名ですが、9.11事件の時に、日に16,000食もの食事を作り、それを4週間近く続けたことでも知られています。

  エントランスは、壁面全部にりんごがディスプレイされ、その香りが早春の光に満ちたウェイティングに広がり、ホームカミングな感じ。通された席は、センターに向かって、ふたり壁面をバックに並んで座るというもので、理由を尋ねたら、「絵が見えるように」とのこと。確かに目の前には、ラベンダー畑の大絵画がバーンとある。バーンとあるんだけど、なんだか、なんでも鑑定団に出た日にゃ、厳しい点が出そうな印象派。 この大絵画がもそうなんですが、柱やディテールはちょっと大江戸線六本木駅風のアメリカ仕様のアールデコが入っていて、ギリギリな感じもします。

メニューは、ブーレイがNYに定着させたとも言われる「美味しいモノをちょこっとだけ。そしてたくさん」というテイスティングメニューで6種類の味が出ました。

各々、3~4のメニューからのチョイスで組み立てるのですが、ちょっとおもしろい結果が出ました。私は、カンパチ、アンバージャック、マグロのカルパッチョ、パセリの根と椎茸風味のアーモンドとガーリックスープ、ホワイトトリュフはちみつがけ鴨のローストポルチーニのピューレとアスパラガス添えという流れ、望月君は、野菜のジュリエンヌサラダ、ピスタチオ味噌でマリネされたタラ生姜ソース蕎麦の実添え、鹿肉のロースト黒トリュフのニヨッキ、ケール、芽キャベツ添えという組み立て。私の組み立ての方が、たとえば、新鮮な刺身に醤油、のような、シンプルな組み合わせの中に上手さを感じさせる水墨画のような味わいなのに対して、お連れ様の方はカラフルな色彩が飛び交い、キャンパスの上でスパークする抽象画のような味わいなのです。

ピエール・ガニエールもお得意な素材から味の要素をリデュースして、それを自由自在に組み立てていくという因数分解&再構築の手法は、たとえば、私の一皿目のカルパッチョなどに鮮やかな印象を残します。オレンジ風味のソースにはそれにつきものの酸味がほとんど取り除かれ、その甘みが、マグロやカンパチの甘さと深く結託して、オリーブオイルの官能的な舌触りに解け合っていく、という感じ。

シイタケをはじめとして、ポルチーニなどなど、キノコ類を多用し、アーモンドやココナツなど甘さの多様性を追求している。しかし、先ほど言ったように、素材からその本質だけを抜いて来ているので、もう、その出自のエキゾチズムを感じる事はありません。

意外だったのは、あのざっくりとしたインテリアから、「コレでどうだ」という派手な仕立てを想像していたら、全く逆のどちらかというと、弱音の繊細さ方向だったこと。繊細でもそれが鋭さではなく、素朴な暖かさを持っているのです。そうなのよ!  素朴なのに豊かな12弦ギターのハーモニー感であって、ガニエールの脳の快感中枢を直接刺激するテクノ&ドラッギー方向と違うんですね。

彼はベートーベン好きだ、と何かで読んだことがあるのですが、メロディーと和声の才能(人をあっと驚かせ、味に耽溺させる)を潤沢に持っていながら、それを逆に抑えて、新しい味の創造に励むストイックさは、確かにその音楽の好みと同義です。

それにしても、日本食からの影響は多大で、アミューズに出た、ウニのゼリー寄せは、ゼリー寄せと言うよりも、まんま煮こごり、味噌マリネのタラは、銀だらの西京焼きの見事なフランス料理へのトランスレーションでした。

 デザートにはチーズをいただき、大満足の2時間でしたが、さてさて、この天国の後に、とんでもない地獄が待っていたのですが、それはまた、次回。

 (続く)

NY出張報告編その3  アメリカ美食の雄「ブーレイ」の快感

<ブーレイ>の外観。トライベッカのデュアンストリートの角。

<ブーレイ>の外観。トライベッカのデュアンストリートの角。

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アミューズのウニのゼリー寄せ。生姜の風味がしてほとんど煮こごりの趣。

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カンパチ、アンバージャック、マグロのカルパッチョ。風味だけで酸味のない柑橘の妙と魚の甘さの結託

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 野菜のジュリエンヌサラダ。ジュリエンヌはこの葉っぱの中にお隠れになっている。

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 パセリの根と椎茸風味のアーモンドとガーリックスープ。アーモンドは多用されている。

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 ピスタチオ味噌でマリネされたタラ生姜ソース蕎麦の実添え。銀だらの西京焼きのキュイジーヌ転換。

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ホワイトトリュフはちみつがけ鴨のローストポルチーニのピューレとアスパラガス添え。はちみつとポルチーニに鴨。ヌーベル・シノワーズを思わせる甘さのハーモニー。

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鹿肉のロースト黒トリュフのニヨッキ、ケール、芽キャベツ添え。最もガニエール的な味の跳躍。

March 2, 2011
by yuyamareiko

NY出張報告編その2 ABTプリンシパル、デヴィッド・ホールバーグとの再会とリハ見学

NY滞在中、もうひとつのハイライトは、アメリカンバレエシアター(ABT)のプリンシパル、デヴィッド・ホールバーグ(David Hallberg)がちょうどその時、NYにいて、再会とともに、バレエファン垂涎の彼のリハーサルを観に行けた事でした。

彼と私の出会いは、過去ブログ&ツイッターに書いたので読んでいただくとして、バレエに疎いムキに彼のステイタスを説明すると、サッカー界でいえば、レアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドのごときの人といっていい(自信無し)。要するに一流チームの世界的なスターなのですが、この人、舞台で華麗な容姿と技術をさんざん見せつけた後に、五反田のオヤジ居酒屋で焼き鳥&中ジョッキの「ふ~。俺って、この一杯のために生きてるわ」(超訳)という憂いを惜しげも無くさらす事ができる逸材と言えます。

 教授とのディナー後、彼のチェルシーにあるお宅を訪問。

わりと新しめのモダンアパートで、中は趣味よくリノベーションされていて、カーサ・ブルータス風。旅公演が多い人なので、モノは少ないだろうと思っていましたが、写真集、本などがインテリア仕様ではなくて、結構たくさんある。ページを伏せて、村上春樹の「ノルウェイの森」があったのは、私に対するプレゼンテーションかと思いましたが、ウォルフガング・ティルマンス、ナン・ゴールディンの魅力について熱く語る様子は、日本のサブカル編集者男子の肌合いと同義。しかし、ディヴッドの方は、それに加えてバレエが踊れます。それも、世界のトップレベルで!

  NYファッションインスティテュートに通うメガネ君(母ちゃんが、コムデギャルソンファンというファッションエリート)も先客にいて、手土産ロゼシャンパンを開けて、ご歓談。私がこの前、日本のバレエファンの底辺の厚さを示す証左として、プレゼントした、山岸凉子の『テレプシコーラ』と萩尾望都の『フラワーフェスティバル』を彼がきちんと話のネタに用意してきたのには、ちょっと感激です。(逆の立場の場合、私はこういう細やかな心遣いはしないなあ、と我が身を反省)

関係ないけれど、『フラワーフェスティバル』のサブキャラ、金髪ロン毛のリュスは、デヴィッドとも言える。クラシックバレエの人だけれど、演技派でコンテンポラリーにも積極的の理論派、という感じがさ。そして、ハローのHug&Kissのたびに感じるのだけれど、この男本当に筋肉が柔らかい。これだから、怪我も無く踊り続けられるのです。

  ブロードウェイと19stの角にある映画館の下、ABTの事務所兼リハスタに翌日出向きました。狭いバックステージのような廊下を、稽古着姿のABTのダンサーたちが行き来する様子は、”美男美女だけしか生息しない惑星”のようです。

  鏡ばりのレッスン室には、アップライトピアノが置いてあって、中年男性の伴奏者が伴奏をつけていきます。レッスン課題はバランシン。相方はアジア人とのハーフのまだまだ初々しい女性ダンサー。往年の人気モデル、ティナ・ラッツに激似。名前を失念してしまったのですが、彼女(ティナと仮に呼ぶ)デヴィッドのアーダジオの練習が始まりました。

レッスンの眼目は、二人のタイミングと表現の細かいダメ出し。バランシン振り付けは、簡単そうに見えて実はものすごくダンサーに負担がかかるものとは知っていましたが、今回はまさにその神髄を見た感じです。曲のテンポが早くないので、エイやっとノリでポーズを決める事はできなくて、回転したり、ジャンプしたりするところが正確に音楽のフレーズに沿ってなければいけないという、”耐える力”の発揮。その運動量がいかにもの凄いかは、ティナちゃんがブレイクのたびにハアハアするその呼気の激しさで十二分に想像できます。

 一方、ディビッドはさすがにその黄金の脚線美はもとより、練習といえども、あの情感の要となる目力と表情に手抜かりはなく、ティナのためにタイミングを合わせていきます。興味深かったのが、彼が何度も何度も微細に鏡に映る自分のポーズのチェックをしていたこと。ホートレートなどで、自分が被写体になると理解できるのですが、ほんの数センチ顔の角度が違っても、もうその印象は違ってくる。デビッドのそれは、完璧な形を目から脳に叩き込んで、体に覚えさせているような、そんな時間に思えました。

 また、コーチが凄いんですよ。

 彼女はもう現役を離れているのですが(紹介されたけど、名前失念)、コーチとして要になっていて、ティナにダメ出しをする時に自分でお手本を見せる。と、同じ振り付けのところなのに、圧倒的にコーチの方がいいのです。コーデュロイのパンツにスケッチャーの厚底靴でバンバン回転するのにも驚いたけど。

  後でデビッドに話を聞くと、やっぱりティナ嬢はまだ若くて経験が無くて、コールド(群舞)から抜擢されたばかりらしい。しかし、同行の望月君が激しく反応していたように、笑顔が愛らしい小動物みたいな森ガールで、くるみ割りのクララとかがバッチリ似合いそう。

  一時間のレッスン後に、デビッド行きつけのイタリアンカフェレストランに直行。

 MOMAのカフェでテロリズムに近い不味いパスタで懲りていただけに、ここのパスタは美味しかった。デビッド、もちろんYMOも知っていて、教授のストーンでのギグにも興味津々でしたが、なんと翌日は故郷フェニックスの高校の「朝食会」たるイベントの主賓に招待されているということで、涙を飲んでいました。

 そのパンフ、見せてもらったけれど、高校生時分の彼は、もう本当に女の子みたいにカワイイ。彼にはお兄ちゃんがいるのですが、そちらの方は典型的なマッチョ気質に育っていて、高校生の時、バレエと同時にレイヴカルチャーにもどっぷりハマって、裾広がりのレイヴパンツにマニキュアをつけてクラブ活動にいそしむ彼とは水と油だったそう。しかし、この男、バレエに飽き足らず、レイヴァーだったのか。して、どちらにせよ、踊り好き。あっ、重要な事を聞き忘れた。ダンスと言えば、もうひとつの雄、黒系のブレイクダンスには行かなかったのはなぜか。答えはすでにわかっていますが、フェニックスという地方都市での、90年代のダンスカルチャーの現場がどうなっていたのか非常に興味があります。

  この日は、そこからブルックリンに行くはずが、いったん、ホテルに戻った瞬間に爆睡。この夜、デビッドの同僚のお別れ会流れに合流するかな、みたいな話だったのですが、体の方がそれどころじゃなかった、というわけです。

 ホント、東京→NYの時差は猛悪で、教授のマネージャー、空さんの話によると「打ち合わせディナー最中、食べながら寝ちゃう人もいます」とのこと。いやいや、冗談ではなく、心から同情いたしますです。はい。

 ちなみにデビッド・ホールバーグが十八番の「ロミオとジュリエット」を踊る日本公演は、7/28@東京文化会館です。http://www.japanarts.co.jp/html/2011/ballet/ABT/ticket.htm

ちなみに、この方

 

 そんで、こんな仲。けっこうオデコっすなー。

Davidandyuyama

「男女公論」NY出張報告編その1 坂本龍一との美食の三日間

February 26, 2011
by yuyamareiko

「男女公論」NY出張報告編その1 坂本龍一との美食の三日間

ほぼ、10数年ぶりのNYに来ています。 もちろん、それは9.11以前。私が著作『クラブカルチャー!』 http://www.amazon.co.jp/クラブカルチャー-湯山-玲子/dp/4620317292 に至るきっかけとなった、サトシトミイエをフューチャーしNYのクラブシーンを取材したmooksのお仕事以来。今回は、現在、commmonsで絶賛連載中、坂本龍一さんとの対論「男女公論」を教授の本拠地であるNYにお尋ねしたという次第。 東京→NYの時差ぼけは、世界最強で、本日はフライデーナイト(by ZAZEN BOYS)なのに、夕方、中華街で粥を食べた瞬間に事切れて、夜中の三時に目が覚めちゃって、ホテルから徒歩3分、24時間営業のマイ仕事場インNYである<Gramarcy Cafe>のお気に入りコーナーでこれを書いています。さっきから、ガラス張りの外には夜遊びに繰り出している、男女が通り過ぎるのですが、ナイトライフ仕様の彼女たちはこの寒空の下に、生足ばっちりのムチムチプリン(体重60キロ以上)、ボティコン姿。そういうヤカラたちが、一人は、お姫様抱っこ、一人はおんぶされて横の歩道を走り抜けて!  いきましたが、さすがに『ブローバック・マウンテン』の国の男の足腰と精神(特に)は強いなあ、と、ここでのお気に入りの「目玉焼き二つとコンビーフハッシュ」を食べながら思いました。 「ニューヨークに遊びにきてよ」と言われ、「今回は、いっしょにクラブにも行ってみるかな?」とも言われたのに、教授、映画音楽の締め切りがガーンと早まってしまい、そんな余裕は全くなしの缶詰状態。しかし、「いつもは午後からまったり仕事を開始して、夕方シャンパン飲んだら、あとは仕事しない」モードを「朝6時から起きて、今日三曲仕上げちゃった」という戦時下モードに切り替えていただき、3nightに渡るディナートークを繰り広げていただいきましたぜ。 毎日、夜七時になると教授のアトリエに行って、そこから徒歩圏内にある、教授のリコメン店に出向くのです。 教授の半地下のアトリエは、奥に細長く広く、ちょっと京都の町屋みたい。モノが散逸するカオス混乱型か、整理整頓派か、と興味津々でしたが、教授は後者。CDやモノは確かに多いのですが、それは壁面の膨大な収納棚に治まり、インスタレーションみたいに、ウーリッツァーやローズやチェレステなどの鍵盤楽器が配置されている。作業机は一番奥で、コンピューターのとなりに手書きのスコアが置いてありました。 初日は、ヴィレッジにある、とあるイタリアンカフェ・レストラン(ここは、教授の行きつけ食事どころなのであえて名を伏す)。「NY、実はイタリアンに美味しいところなし」という話を裏切る、気の利いた美味しさ。ハニーローストのグリルチキンは秀逸。ローズマリー風味の子羊など、ぴったりと味が決まっている。サービスのアジア系の美男子ちゃんは、タコの入れ墨を腕に入れていてセクシー。 二日目は人気日本食レストランの<EN>。「キルビル」以降の日本風のデフォルトとなった、階段&吹き抜けのシアトリカル空間ですが、ここはディテールに抜かりがなく、非常に完成度が高い。 びっくりしたのが、料理のクオリティーで、お手製のからすみやタケノコの刺身、自家製のくみ上げ豆腐などの志ありかつ手間のかかるものが並びます。このあたりは、わりとインターナショナルにも膾炙できるメニューですが、それとともにブリの煮付けなど、も出していて、その味はまったくもって、日本のグルメうるさ型水準。日本にいて、年々感じるのですが、海外から来る人たちの”日本の味”に関する教養は格段に上がっており、また、「知らない味に対して積極的であることがクール」という強迫観念もあるのか、かつての食に対する保守性をブレイクスルーして、数々の食べ物に果敢に挑んでくる。そういったニューヨーカーたちの嗜好の変化が、現場として理解できるような体験でした。 その確かな証拠に、ここでは、なんと「まかない」というイベントをやったそうで、カマの煮付けやうなぎの骨の素揚げなどが大人気だそう。生卵はサルモネラ菌の問題でアメリカでは御法度だと言いますが、こうなったら、もうちょっとでニューヨーカーたち、「卵かけごはん」の域まで行ってしまうかも。 日本のビールとして勧められたのが、「ニッボニア」。教授によると、こちらで凄い人気だというので飲んでみると、白ベルギー系でとっても美味しい。ラベルの裏をみるとそこには木内酒造の文字が! ここの社長とは、昔、美人寿司関係で会った事があるのですが、アメリカ展開を熱く語ってくれた事を思い出し、その有言実行ぶりに脱帽です。 なんとこのオーナーは、まだ40代前後とおみうけするYo Reikaさん。赤塚りえ子さんにもにた細身のナチュラルな感じは、よくテレビでやっている「私はハードなニューヨークでバリバリやってます」系の真逆で、自分のやりたいことをそのままやってみたらこうなった、というような雰囲気。こういった自然体の成功者、しかも、カフェレベルではない、高級店を実現してしまうことを考えると、女性にとって成功に至るハードな環境はもしかして、日本の方かも、なーんて思いましたよ。 三日目はこれまた、ヴィレッジにある<TAKASHI>。 ガラス張りでオープンキッチンの今時仕様ですが、テーブルは日本の焼き肉屋のように小さくて、横の黒板書きなんかの雰囲気はひょっとすると、下北沢なんかにありそう。ここも流行っていて、予約がなかなかとれないらしい。 「よろしくお願いします。たか子」です。と自己紹介してくれた店主のたかしさん(Tシャツとボディーがステキなハンサムガイ)は、この店を開いてまだ1年足らず。教授はニューヨークタイムスで店のレビューを発見して来店して、その旨さに仰天したんだそう。「肉も凄いが、キムチやナムルが絶品」との教授の言葉通りで、大阪でまだ現役で店を切り盛りしているおばあちゃんのレシピなるキムチは、唐辛子の味が重層的で激旨。そして、ナムルは日本での定番ぜんまい系(私はこれがちょっと苦手)ではなく、生フェンネルやトマトなどのこちらのフレッシュな野菜を使ったもので、ナムルの固定概念を超える味。焼き肉は日本で完全に根付いていますが、こういった形のホームメイドから地続きのカフェ感覚の店は無いよな、と、この分野の新たな可能性を実感したのでした。 そして、ここでは横で焼き肉をつつくカップルに注目。 女性の方は背が高く美人でモデル風なのですが、どうも。メイクの濃さとか、オールドスクールな髪型などが”とんちんかん”。着用のミニドレスには異様な肩パッドが入っていて、ブレードランナーのレイチェルみたい。 教授と話し合って出した結論は「アレはどっかの小国の王女様で、今はお忍びで街場の焼き肉屋に来ているに違いない」というもの。まあ、ローマの休日ってことですが、男の方はノーネクタイの白シャツの襟を開けている精力的な中近東美男。この、二人の強烈なオーラは、かつて麻布十番のレストランで、某歌舞伎一家の会食を見たときと同様であり、謎は深まります。 ここでの熱い三日間のトークは、随時、commmons連載の「男女公論」に発表されますので、ご期待のほどを。 http://www.commmons.com/commmonsmag/danjo/ あとは、雑誌「ゲーテ」の連載ね。   食に関して言えば、同時期に偶然NYに来ていた、編集者の菅付雅信クンと一緒に食べた、人気のパン屋がやっているピザ屋の<CO>も素晴らしかったですね。彼はなぜだか昔から、「私にうまいピザ屋の情報をもたらす男」として存在していて、実はこの正月にも、不動前に新しくできたピザ屋に行ったばっかり。菅付といえば、ピザ、ピザと言えば菅付。 そういえば、初めてNYに行ったときもなぜだか、現地に彼がいて、一緒に夜の街を遊び回った事を思い出しましたよ。実はこのとき、私は初めてのNYクラブ体験をしていて、今は無き<シェルター>の名パーティー「Body&Soul」に連れていってもらったのです。しかも、彼は途中で帰ってしまい(後から、探したけどいないので先に帰ったと思った、とのこと)、私はソファーでガン寝した後に、そこがどこかもわからずに、朝のNYをとぼとぼホテルまで帰ったのでした。             NY焼き肉の新名所「TAKASHI」のたか子と教授と!